◇水夢骨董堂細腕繁盛記◇
冬の章/壱




「こりゃダメだ」
 当てなければならない球が他の球に邪魔されて、撞きようのないのを見てオリヴィエは嘆いた。
「無理だな。この勝負、俺の勝ちだな」
 オスカーは球の位置を見ながら笑みを浮かべた。オリヴィエはしばらく考え込むと、意を決して、テーブルの端に腰掛けた。チョークをタップに擦り付けると、思い切りキューを立てて握った。
「オリヴィエ、いけません、マッセなんて無理です」
 リュミエールはオリヴィエを止めた。
「まかせときなって」
 オリヴィエは指を立ててブリッジを作り、狙いを定める。
「真剣な顔のオリヴィエもいいもんだな」
 オスカーは笑いながら成り行きを楽しんでいる。


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