リュミエールはキッとオスカーを睨み付けた。
「わかったよ……しかし……怒った顔はまた格別綺麗だな、普段の優しげな瞳が豹変するサマはゾクゾクするよ」
とオスカーはついとっておきの声で呟きながら、リュミエールに触れようとした。
「もう我慢なりませんっ」
と言うや早いがリュミエールはオスカーの襟首を掴んで持ち上げた。
「よ、よせっ」
「とりゃ〜〜っ」
オスカーの体はリュミエールの背中で一回転し、宙に放り投げられた。オスカーの体は水夢骨董堂の戸にぶち当たり、その拍子に木のドアにはめ込まれた磨りガラスが砕け散る。
「出た〜っ伝家の宝刀・一本背負い〜、柔能く剛を制すっ」
と叫んだのは、奥の部屋に隠れて成り行きを見ていたオリヴィエである。
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