花影追憶
◆第一章 緑水晶◆



「目の色が緑だからだね」

「俺の目は緑色じゃあないぜ」

「ううん、緑色に見えるよ。光のせいかな……」

「アタリだ。俺にはわからんが光の角度によって緑色に見えるんだとよ。それでオヤジが勝手にそう呼び出したんだ。ところで……お前、孔雀を見たことあるか?」

 緑はオリヴィエに唐突に尋ねた。

「ないよ。孔雀って織物に描かれてるのを見たことがあるけど。本当にいるの?」

「ああ、綺麗な鳥だ。初めて見た時にこんな生き物がいるのかと思った。お前に似てるよ」

「今度、親方に呼んでもらうよ」

「呼んでもらう?」

「うん、ワタシが見たいものはなんでも、ここに呼び寄せてくれるんだって」

「ふん。でも今度は俺と見に行かないか? この塀の向こうには楽しい事がいっぱいあるぜ。一緒に行かないか……俺と」

そう言うと緑は悪戯心を起こしオリヴィエに手を延ばした。

 


◆NEXT◆